勝手口というと、昭和の家庭にとっては欠かせない御用聞きの人がやってくる出入り口のイメージが強いかもしれない。
最近では、勝手口の付いていない住宅も多くなっているが、その利便性を考えてあらかじめ勝手口を設置する人もいる。
しかし、古くなった勝手口のドアは防犯上の問題が浮上するので、早めに交換するほうが安全である。
また、現在勝手口のないお宅でもリフォームなどで後付けすることも可能なので、勝手口ドアの機能や種類、施工にかかる費用などについてご紹介しよう。
目次
勝手口の役割と利便性
勝手口は、玄関とは別の出入り口で、主にキッチンや洗面所の周辺などに設置される出入り口のことである。採光や換気、通風の取りにくいキッチンや洗面所の開口部としても機能する。

用途としては、ゴミ出し、洗濯物干し、駐車場への近道などサービスヤードへの出入りに使うことが多い。
また、近所の人など親しい人との交流にも使われ、玄関の公共性とは少し違った使い勝手を見せる。
宅配便を届けてもらったり、集金に来てもらったり、出前を届けてもらうような用途で使われることもあるだろう。
また、玄関以外で荷物の出し入れ場所として、引っ越しや家電の搬入搬出などでも使われる。
勝手口のドアの大きさは、玄関ドアよりも幅や高さが一回り小さく、コンパクトに抑えられている。設置する場所自体が狭い場所であることが多いからだ。玄関ドアと比較して、ガラスなどが使われ透過性が大きい場合も多い。
勝手口はいわば裏口である。
玄関があれば、勝手口など必要ないという人もいるかもしれないが、勝手口には一度使ってみると手放せない利便性があるものだ。
勝手口の防犯性

勝手口はサービスヤードへの出入りに便利であり、採光や通風の面からも需要の高いドアであるが、ひとつ気がかりなことがある。
それは、防犯性である。
勝手口は、道路から見えない位置に設置されることも多い。一昔前までは、客として玄関から入るほどではないという意識があり、勝手口から訪問する人も多くいたが、現在ではどちらかというと家族の日常の中でのプライベートな使い方をする場合が多いだろう。ゴミを仮置きしたり、洗濯物を干したりするための出入りだ。そういった場所は空き巣などが侵入をする時にやりやすいとされている。
また、採光のためにガラスが入っているドアも多いので、留守中や深夜にガラスを割られて侵入される危険性もある。
ゴミ出しやちょっとした用事で気軽に外出できるが、そのせいで「ちょっとだけだから」と油断してしまいがちでもある。空き巣は、そういったちょっとした油断を見逃さない。
もちろん、勝手口にもしっかりした鍵がついており、二重ロックも可能だが施錠する習慣がないと意味をなさない。
勝手口から外出する時には、ほんの数分でもしっかり施錠するようにしよう。ガラス部分の外側に面格子を付けたり、割れにくくするような防犯フィルムを貼るなどの工夫をしたい。
また、勝手口は表側にある玄関と違って人目に付きにくい裏手にあることが多いので、深夜に誰かが近寄ってきた時に点灯する人感センサー付きライトや、疑似監視カメラなどを取り付けて、警戒していることを明確にすることも効果的だ。
勝手口ドアの交換と勝手口の新設

それでは、勝手口のドアの交換や新設する場合にかかる費用や注意点などについてご紹介しよう。
勝手口は、既存のものがあれば、リフォームで新しいドアに取り換えるのは比較的簡単な施工で済む。
ドアの本体の部分だけを変えることはほとんどないから、ドア枠部分を取り外し新たな枠とともに、ドアを交換することになる。
勝手口ドアの交換費用の相場

古いドアを取り外し、寸法に合わせた新しいドア枠をはめ込む施工になるので、工事にかかる時間は2時間から6時間程度、費用は10万円から20万円程度。もちろん、個々に条件が違うので、見積もりを取って確認すること。
勝手口に用いるドアはいわゆるアルミサッシで、窓のないタイプやガラス張りのもの、ドアを閉めたまま通風・換気できる採風タイプ、外側に面格子がついているものなどがある。
通風や換気に便利な機能がないものについては、15,000円程度から購入可能であるが、格子などのついたものは40,000円くらいになる。
少し値は張るが、やはり勝手口ドアを付けるならば利便性を活かせる通風機能があるものを選びたい。
勝手口ドアの種類 框付、採風、断熱
勝手口ドアには様々な種類がある。
最も身近なのは框ドアと呼ばれるタイプだ。ドアの4辺を框(この場合は太めの枠と思えばいいだろう)だけで囲み、ガラスやアルミパネルをはめ込むものだ。勝手口に使われる場合は中心に中桟が入った上下にガラスやアルミパネルが入ったものが多い。
通風ができる採風ドアも機能的だ。
ドアの中心部が上下にスライドするようになっており、ドアの中に上げ下げ窓が付いている。ドアを閉めたままでも窓部分を操作して、上下にスライドさせて、採風する仕組みだ。外側に面格子が付いており、デザインを選ぶことができる。

断熱についても検討しておきたい。
室内の熱は窓やドアなど開口部から逃げていく。断熱性能を高くした勝手口ドアもあるので、検討してもいいだろう。ただし、建物全体の断熱を考えた方が冷暖房の効率はいい。
ガラス部分をペアガラス、Low-eガラスに変えるだけでも断熱性能は上がるので、検討してはどうだろうか。
勝手口ドアの設置されるキッチンは、ガスレンジや家電など熱源が多いが、専用のエアコンなどはついていない場合が多いだろう。暗くなりがちだし、奥まっていることが多いので通風も確保しにくい。
交換の際は、勝手口ドアを出入りだけでなく、採光、採風を確保するものとして検討して欲しい。
勝手口ドアの防犯にDIYで鍵を増やす

勝手口で最も気をつけるべきは防犯だ。
繰り返しになるが、勝手口ドアは、外から見えにくいところにあるため、防犯性を考えておくと安心だ。
ドアにセットされている鍵以外に、追加で補助鍵をつけるといいだろう。ドアを開けるときに鍵が複数あると侵入に時間がかかり、侵入を諦める可能性が高い。
補助錠はDIYで十分に取り付けられるし、内側から鍵をかけるもの、外側からかけるものなど選択肢があるので、使い勝手のいいものをつけるといいだろう。
ガラス部分が破られ、そこから手を入れて鍵を開けられる場合もある。ガラス部分の鍵に手がとどく範囲に防犯シートを貼り付ける。ホームセンターなどでも購入できるしDIY初心者でも簡単に貼り付けることができる。
勝手口ドアに網戸や機能ガラスがつくと便利
勝手口ドアの内側に網戸をつけることもできる。網戸がつけばドアを開け放したまま部屋を使うことができる。網戸をつけることで、掃き出し窓のような使い方もできるわけだ。
後付けの網戸はドア枠に取り付ける。ドア本体の内側につけるもので、左右にスライドさせるロールタイプや蛇腹タイプの網戸はDIYでの取り付けも可能だ。
ドアタイプもあるが、網戸は内側に開くようになるので、開閉のスペースが必要になる。
ガラス部分を機能性の高いガラスに変更することもできる。
防犯対策のため、防犯ガラスなど破られにくいガラスに変更することもできる。ガラスに樹脂製の膜を挟み込んだもので、破壊されにくい。
断熱性能をあげるために、ペアガラス、Low-eガラスに変えることもできる。2枚のガラスの間に、乾燥空気やアルゴンガスを封入したもので断熱性が高くなり、室内から熱が逃げるのを防いでくれる。
紹介した機能性ガラスは、通常のシングルガラスよりも厚みが増し、重量も増える。既存の勝手口ドアのガラスを交換したい場合は、ガラスの厚みが変更可能か、ガラスの重量にドアが耐えられるかどうかの検討をしてほしい。無理に取り付けると重く動きの鈍い使い勝手の悪いものになりかねない。そのような場合はドアごと交換した方が費用の効率がいいので、柔軟に考えてほしい。
勝手口の新設工事と費用相場
勝手口のスペースのないキッチンなどの部屋に、勝手口を新設する事も可能だ。
壁を一部壊して開口部を作り勝手口ドアを取り付ける、必要なら外部のステップも同時に依頼する事もできる。壁を壊して開口部を設ける必要があるため、費用や工期は増えると思ってほしい。
ただし、希望の位置の壁を壊すことができない場合もある。
例えば、木造住宅の場合を考えてみよう。勝手口として開口部を設けたい壁が、筋かいなどの入る耐力壁だった場合、その壁を壊して開口部にすることは避けるべきだ。どうしても、という場合には他に耐力壁を移動する事になるが、大規模なリフォームとなり現実的ではない。
まずは施工可能かどうかの調査が必要になってくる。住宅を施工した会社がわかる場合、手元に施工時の図面がある場合は、それを参考にして、開口部にできる壁かどうかを調査する。工事自体は業者に頼むべき内容なので、見積もりを依頼するときに壁の調査をしてくれるはずだ。
勝手口の新設は、費用は20万円以上、工期は1日〜2日くらいかかるとみておいたほうがいいだろう。施工が難しい場合は割高になることもある。
勝手口新設時の注意点

勝手口を新設する場合、土間まで作ることはほとんどないだろう。土間部分があれば、靴の脱ぎ履きにも便利だし、食材などを置くこともできるが、工事が複雑になるし、採光、採風のためであれば、土間部分は必要ない。床の高さに勝手口ドアを設置して出入りに使えば十分だろう。
キッチンなどの部屋の床の高さに合わせたドアを設置すると、ドアを開けて外に出るときに地面から40cm~60cmくらいの高低差が生じることになる。おおよそ階段2段から3段分の高さだ。出入りには必ず外部にステップが必要になるので、準備しよう。
後付けの場合は沓脱石や踏み台のようなものを設置する。使い方によってはデッキをDIYで作ってもいいだろう。
必要であれば、コンクリート打ちのステップを業者に施工してもらってもいいだろうが、置き型の沓脱石であればネットなどから1万円以下で購入できるので、それで十分だ。
リフォーム業者の選び方
勝手口のドアの交換は、比較的簡単な施工であり費用もそれほどかからず、新しいドアの価格もメーカーで決まっているため、相場を知ることがたやすいだろう。
それでも、ひとつの業者に決める前に、複数の業者で見積もりを取ってもらい、信頼できるところを選ぶようにしてほしい。
施工費用だけでなく、勝手口のリフォーム実例が多いところや、ネット上の口コミなども参考にしてみるといいだろう。
勝手口を新設する場合には、壁を抜いて開口部をつけるので、建物の構造も関わってくる。住宅自体を施工した施工会社がわかれば、そこにまず相談するといいかもしれない。また、自分でも納得できるように説明してもらえるところに、任せるようにしたほうがいいだろう。
信頼できる業者を見つけるためにも、ぜひ当サイトの無料見積もりから試していただきたい。
まとめ
勝手口のドアは、長年使っていると経年による劣化が進み、がたつきが出たり、鍵があまくなったり、壊れやすくなってしまう。
それでなくても勝手口は侵入されやすい見えにくいところにあるので、防犯上からも古くなった勝手口のドアは早めに交換することをおすすめしたい。
古くなったドアは見た目でもわかりやすく狙われる可能性が高まるので、防犯を考慮するとともに、自分たちの家での使い方にあった性能の勝手口ドアを選んでみてはどうだろうか。
ただ、どんなに高性能のドアや鍵だとしても施錠しないと意味がないので、ちょっと出かける際も施錠する癖をつけ、夜間や留守の時の施錠に気を付けてほしい。

7種類のリペア技法を駆使して5000件以上の実績を持つリペアの達人。クロス職人からリペア業界へ転身。現在は芸能人や大手建設会社など幅広い層の顧客を持ち、業界でもトップクラスのスキルを保有している。日々のリペア活動はこちらより。自らの手法確立後は厚生労働省認可企業として基金訓練を実施、教え子たちの多くがリペア技術を習得し自立。成功者を輩出している。リペア技術を学びたい方はこちらより
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