フローリングはどんなに気をつけていても、うっかり物を落としたり、引きずったりしてしまう事で傷やへこみができてしまう。
その中でも「ひび割れ」は早めに補修を行わないと、足に傷を負ってしまったり、損傷範囲が広がったりがしやすい為、放置せずに早めに直していただきたい。
そこで今回はフローリングの「ひび割れ」を自分で補修する方法、プロに補修依頼するポイント、また再発防止の為の知識をお伝えする。
まずいきなりだが、最初にトップ画像の損傷をリペア職人が修復したアフター画像を見ていただきたい。

(ビフォー)

(アフター)
酷いひび割れ、そこからの剥がれも、このように綺麗にすることが出来るので安心していただきたい。
目次
ひび割れを直す方法は2つ!メリット・デメリット

フローリングのひび割れを直す方法は、自分で行うかプロに依頼するかの2つである。
「自分でも補修出来そうだが…失敗が怖い」
「プロに依頼は費用がかかるし…」
上記のように判断しがたく放置したままの方はとても多い。
そこで2つの選択肢を価格面と共にメリットやデメリットを見ていこう。
ひとつ、大きな目安となるのは損傷の【大きさ】である。
ひび割れの長さが15cm以上ある場合や、深さが1mm以上ある場合は、プロに修復を依頼することをおすすめする。
自分で修理する場合
ひび割れが表面的(干割れ)の場合や、先述したように15cm以下で深さも1mm以下の場合はキット等を使用して補修は可能。ただしひび割れDIY補修で難しいのは【調色】である。
【調色】とは、ひび割れを抑えた後に、既存フローリングとのギャップ埋め(色、質感)の際にまさしく筆などで描写を行う必要がある。これを行わなければひび割れは収まっても、補修した跡は残ることになる。
【自分で補修するメリット】
■思い立った時にすぐ取り掛かれる
■費用を抑えられる
【自分で補修するデメリット】
■敗すると次の補修のハードルが上がる
■補修跡が残りやすく見た目は補償できない為、賃貸では行わないほうが良い。
■接着が甘い場合などはすぐに再発する
上記の中でのポイントは、やはり「補修跡が残る可能性が高い」ところである。
例えば賃貸の場合、敷金が返ってくるようにするためフローリングのひび割れを自分で補修したが、補修跡が残った場合、勝手に手を加えたとして貸主に悪い印象を与えてしまう。
業者に修理依頼する場合
自分で行う補修は浅く小さなひび割れのみ対応できるが、プロであれば深く広範囲で入ってしまったひび割れも、まるで最初から損傷がなかったように補修してくれる。
ここで大切なのは依頼する業者選びである。理由は後に「プロに依頼する3ステップ」で詳しく解説するが、必ず「リペア専門」の業者を選ぶ。
【業者に修理依頼するメリット】
■深く広範囲のひび割れにも対応してくれる
■損傷が元からなかったように補修してくれる為、賃貸でも安心できる
■アフターケアなどの相談にも乗ってくれる
■損傷原因や状態など、条件が揃えば火災保険が適用できる
【業者に修理依頼するデメリット】
■自分で行うより費用がかかる
上記の中で以外と知らない方が多いのが「火災保険の適用」である。
火災保険は火災による被害だけでなく、加入内容に「不測かつ突発的な事故」又は「破損・汚損」という項目があれば、ひび割れ原因によっては、条件が揃えば保険が適用されて、自己負担なく修理することができる。
自分で補修する方法3ステップ

自分で補修を行う際に一番手軽なのが、フローリングテープを貼る方法である。今は様々なカラーのテープが販売されているが、見た目は「貼りました」と一目でわかる仕上がりである。よってここでは自分で行うにしても出来る限り元通りの状態に持っていける方法をお伝えしたい。
補修材料を用意する
様々なフローリングの補修キットが販売されているが、ひび割れに関しては、下記のように損傷の状態で使用するキットを変えていただくとより補修しやすい。
① 線が走るような細いひび割れ…クレヨンタイプのキット
② 溝があるひび割れ…熱でスティックを溶かすタイプのキット
③ 表面が一部剥がれているひび割れ…木工パテ
補修する
3つのキットを使った補修方法とコツをそれぞれお伝えする。
①【線が走るような細いひび割れ…クレヨンタイプのキット】

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①クレヨンの色を選ぶ
既存フローリングに近い色のクレヨンを、1色だけでなく2色選ぶ。1色だけではなく2色以上、必要であれば3色程を混ぜながら使うと自然な仕上がりになる。
②補修箇所を整える
ひび割れは、ひびの周辺がささくれている事が多い為、まずはそのささくれをサンドペーパーで削り落とす。ゴミや汚れ、木屑を綺麗に掃除する。【コツ】長いささくれはサンドペーパーをいきなり当てて擦ると、表面がめくれてしまう為、長いささくれなどはカッターで切り落し、根元をサンドペーパーで平らにする。
③クレヨンをひび割れに埋めていく
最初1色のみを中に軽く押し付けるようにしてひびを埋め、2色目も同様に押し付けて色を混ぜつつ埋めていく。【コツ】最初の1色で全て埋めようとせずに2、3回で埋めるようにすると作業しやすく、色も合わせやすい。
④ヘラで平らにする
クレヨンは少し盛り上がるくらいまでのせて、付属のヘラで平らにする。【コツ】一度に行おうとせずに、ヘラで平らにしつつクレヨンが取れすぎたら足してと何度か繰り返すと馴染みやすい。
⑤ペンで木目を描く
付属のペンで上から木目を施す。【コツ】一回で木目を描こうとすると逆に目立ってしまう為、薄く少しずつ周辺から足すように木目を描く。目立ちすぎた場合は指でこすり馴染ませる。
こちらはクレヨンタイプのキットで、ひび割れではなく線傷を補修している様子である。大きな工程は同じで参考になるので是非見ていただきたい。
②溝があるひび割れ…熱でスティックを溶かすタイプのキット

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①補修箇所を整える
先述したクレヨンタイプの方法と同様に、ささくれを取り、ゴミや汚れを綺麗に除去する。この間に付属の電機コテを温めておく。
③カラースティックを選び溶かす
フローリングの色に合うカラースティックを選び、温めたコテのヘラで溶かして、そのままコテを傾けてひび割れの溝に少し盛り上がるぐらいまで流し入れる。【コツ】もし、1色だけでは色が合わない場合は、複数のスティックをスプーンの上にカッターで削り落し、スプーンの上で温めて溶かしながら色を合わせていく。
④除去クリームを塗り、コテで溶かしながら平らにする
スティックを埋めた部分とその周辺に、付属の除去クリームを塗る。
この除去クリームは、耐熱保護剤であり、この後温めたコテで余分なスティックを取り除く際に、ベトつかないようにと、周辺のフローリングを熱から守る役割をしてくれる。
クリームを塗ったら温めたコテを45度くらいの角度でゆっくり動かしながら、余分なスティックを取る。
【コツ】除去クリームの塗りが少ないと余分なスティックがベタついてくるのでしっかりと塗る。またコテで取る際、一気に取りきろうとせず少しずつ溶かすように手を動かす。
⑤ペンで木目を描く
付属の木目ペンで、周囲と合わせた模様を描く。先述通り薄い線を重ねるように少しずつ色を乗せながら、指でぼかしながら調整する。
こちらの動画はフローリングに出来たビス穴を補修する様子だが、ヘラの使い方が参考になるのでお伝えする。
③表面が一部剥がれているひび割れ…木工パテ

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①補修箇所を整える
先述通り、ささくれを取り、ゴミや汚れを綺麗に除去する。
② 木工パテを充填する
割れ目部分に木工パテを直接押し込むように充填する。また表面がめくれている部分にはヘラを使うと充填しやすい。【コツ】パテも乾燥すると痩せる為、盛り上がるくらい多めに乗せる。
③乾燥後、再度パテを重ねる
盛り上がる程にパテを乗せても、少し深さがある箇所は特に、パテが痩せてへこんでしまうため、再度沈んだ箇所にパテを重ねる。
④ 硬化後、平らにする
完全に硬化した後、サンドペーパーで表面を平らにする。
⑤塗料で色合わせを行い、木目を描く
既存フローリングの色に合わせた木工パテを使用しても色のギャップが出てしまった場合、フローリング用のカラーニスなどで色あわせを行い、木目は先ほど紹介した木目ペンなどで施す。
定期的にメンテナンス
ひび割れの主な原因は、湿気や水分、日光の当たりすぎ等がある。一度ひび割れが起きた箇所は再度ひび割れが起き易い環境かもしれない。
この後にフローリングの主な原因をお伝えするので、どれに当てはまるかを確認していただき、適したメンテナンスを行っていただきたい。
また、今回自分で補修を行った箇所は、日々様子を見ていただき、特にパテが痩せたりしていないか見てほしい。パテは完全に硬化したと思ってもまだ途中で、暫くしたら沈んでいるという事が多々ある。
フローリングひび割れの原因と予防法3つ!

湿気や水分によるダメージ
例えば水をこぼした際に、拭き忘れ箇所があった場合や、窓の結露で長時間水分がフローリングにたまっていた場合などに生じる。
例えば結露の水滴であれば、木材が継ぎ目やコーティングが薄くなっている箇所からその水分を吸収し、その後、暖房などによって急激に乾燥した場合にはひび割れに繋がってしまう。
また無垢のフローリングは複合フローリングとは違い、一枚の板で施工されている為、膨張や縮みの逃げ場が取りにくい。
【予防法】
■水分をこぼした際にはすばやく、しっかりと拭き取る
■結露が起きやすい窓には結露防止シートを貼るなど、フローリングに水滴がたまらないようにする。
摩擦によるダメージ
わかりやすいのは、椅子などの可動式家具による度重なる摩擦である。摩擦によって表面のコーティングが薄くなり、表面のひび(干割れ)から、ひび割れに繋がる。見た目には未だひびがでていなくとも表面を斜めから見ると、椅子を動かす方向に表面がほんのり波打っているような筋がでているかもしれない。
【予防】
■よく動かす椅子などの下にはマットを敷く
■湿度が高くなる場所や乾燥しやすい箇所にはよく動かす家具は設置しないようにする
日光や暖房器具によるダメージ
先述したように、木材は湿気を含むと膨張し、乾燥することで収縮する為、日光が日々当たる場所や暖房器具で急激に乾燥する箇所はフローリングに負担がかかっている。特に日光によって表面のコーティングは劣化しやすい。
一度窓際のフローリングを確かめていただきたいが、色褪せと共に表面に細かいひびが走っていないだろうか。
【予防】
■日光が強く当たる箇所にマットを敷く
■暖房器具の熱が常に同じ場所に当たらない様にする
寿命による劣化
わかりやすい原因がなくても、フローリングにも寿命がある。環境にもよるが10~20年すれば何かしら劣化現象は目に見えて出てきてしまう。ひび割れもそのひとつであるが、出来る限り長く大切に使う為にも、上記の予防を行い、損傷があればそれ以上広がらないように早めに補修していただきたい。もちろん日々の掃除や、ノンワックスのフローリングでない場合は、定期的なワックス掛けを行うなどが必要である。
プロに依頼する3ステップ

続いては、ひび割れの長さが15cm以上又は、深さが1mm以上ある場合、プロに修復を依頼する際の流れやポイントをお伝えする。
依頼する業者を探す
フローリングのひび割れを修復してくれる業者は、ネットで探すと沢山出てくるが、おすすめなのが「リペア(修復)専門の業者」である。
まず知っておいていただきたいのが、フローリングの修理でよく耳にする「リフォーム…作り直す」と「リペア…修復」の違いである。
リフォームは、基本的には作り直しとなる為、フローリングに関しては全面張り替えなどにあたる。一方リペアは、損傷した部分のみを修復する為、既存の物を出来る限り残す。
よってリペアはリフォームに比べてかかる費用はほぼ工賃のみの為、非常に経済的であり、また既存フローリングを生かす事ができる。
中にはリフォーム会社でも「リペア(修復)も出来ます」と請け負ってくれる所はあるが、その場合の多くは下請けとなる為、直接リペア専門の業者に依頼する方が仲介手数料もない値段でお願いできる。
見積もり依頼をする
「リペア専門の業者に依頼しよう!」となったら次はしっかりと見積もりをとってもらおう。
その際に1社だけでなく、比較の為にも数社に見積もりを出してもらい価格にも納得して依頼したい。
ここで問題なのが、数社に連絡をとって状況を伝え、見積もりをお願いする手間である。
当サイトの『リペアスペース』であれば、複数社への見積もり依頼を同時に行うことができ、ニーズに見合った業者を見つけることができるので参考にしていただきたい。
補修してもらう
リペアの業者に依頼をし、いよいよ補修である。
見積もりの段階からであるが、依頼した後でも気になる点、不安要素があれば都度業者に聞いて欲しい。家に関する業者との付き合いは一度で終わることは稀である。
長く信頼をもって安心してお願いする為にも「相談」は億劫にならずにしていただきたい。
また、【業者に修理依頼するメリット】で先述したように、丁寧な仕事の他にも、「火災保険の適用について」など建物に関する保険のわからないにも答えられるような業者はベストである。
理想の修復が叶うリペアの驚くべき技

ビフォー

アフター
ひび割れだけでなく、へこみも同時に伴っている。全体的に損傷があるわけではないが、素人では修復できかねる損傷である。しかしアフター画像ではどこに損傷があったかわからず、まさに元通りである。

ビフォー

アフター
長く入ったひび割れだが、こちらもまるで張り替えたかのように綺麗になった。もちろん張替えではなく既存のフローリングを修復したのである。
こちらの動画はひび割れではなく、フローリングの凹み補修だが、リペア職人の技を見ることができる。
この記事ではフローリングのひび割れを、状況別に3つのDIY補修方法と、プロに依頼する際のポイントをお伝えしてきた。
この記事を参考にしていただくことで、すっきり綺麗なフローリングになることを願う。

7種類のリペア技法を駆使して5000件以上の実績を持つリペアの達人。クロス職人からリペア業界へ転身。現在は芸能人や大手建設会社など幅広い層の顧客を持ち、業界でもトップクラスのスキルを保有している。日々のリペア活動はこちらより。自らの手法確立後は厚生労働省認可企業として基金訓練を実施、教え子たちの多くがリペア技術を習得し自立。成功者を輩出している。リペア技術を学びたい方はこちらより
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